抄録
林野庁は全国の生産森林組合を対象に森林組合一斉調査を毎年実施している。しかし、設立登記組合数に対する調査票提出組合の割合は低下傾向にあり、2022年度調査の場合、提出率は77.6%である。組合の解散により組合数は減少傾向にあり、提出率も低下傾向にあるなかで、生産森林組合調査票に関する公表値は都道府県別の項目別単純積み上げ数値のみとなっている。本論文では、2008~2017年度の生産森林組合調査票の提出率を分析し、単純積み上げ数値による分析の妥当性を検討した。2008~2017年度の10年間、毎年調査票を提出した生産森林組合は、10年間に一度でも調査票を提出した生産森林組合の50.5%とほぼ半分であった。また、毎年調査票を提出する生産森林組合の割合は都道府県により異なっていること、毎年調査票を提出した生産森林組合の割合が4割未満という都道府県が約3割あることが分かった。以上より、生産森林組合調査票の集計結果(公表値)の異時点間比較には限界があり、個票を使った分析を併用する必要がある。