日本理科教育学会研究紀要
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4学年「いもの育ち方」における光合成の指導に関する調査研究(その2)
笠原 始
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1980 年 20 巻 2 号 p. 1-8

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抄録

このたびの教育課程の改訂により,6学年で指導されていた光合成は,4学年へ位置づけられ,すでに,4学年の移行措置として指導されているが,葉の同化でんぷんの形成が児童の問題解決になりにくいという問題点が指摘されている。本研究は,こうした問題に取り組み, Vol.19, No. 1で報告した調査研究を基盤として学習指導を実施し,その結果を分析して望ましい指導のあり方を解明しようとした。研究対象は,岡山県下各地から10校を選び,各校の4学年のすべての児童(1,216人)とした。調査結果から次のことがわかった。1. 光合成についての問題意識を構成する場は,新しいいもができかけたとき,種いものでんぷん移動説を契機として「種いもから移ったとしたら,他の部分(葉・茎)へもでんぷんが行っているだろうか。」と想を拡げてやると, 葉のでんぷんの存在に対する問題意識を持たせることができる。次に, 露地の葉と室内の砂栽培とで同化でんぷんの形成を比較させることにより,日光のはたらきに着目させることができる。2. 成長の過程で種いものでんぷんの変化を調べたり,種いもより収穫量が多いことが確認できたりすると,でんぷん移動説が覆されやすく,葉のでんぶんが新しいいもに貯蔵されたと考えやすいので,光合成の理解を深めることができる。3. 同化でんぷんの検出法については,青汁加熱法が4学年の児童の発達段階に即しており,実験結果も明瞭で,光合成の理解もすぐれている。

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© 1980 一般社団法人日本理科教育学会
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