学習指導要領によれば, 中学校第一分野(6)のイ,(ウ)の項に金属の酸化や金属酸化物の還元において,その反応に関係する物質の重さの比は一定であることを学ぶことになっている。これについて教科書に示された実験を見ると,ほとんどが銅,マグネシウムあるいはスチールウールを酸化させ,金属酸化物として質量の変化を把握させる方法がとられている。その方法の一つに,ガラス管に銅網を詰める酸化還元装置がある。これに,どこでも入手できる家庭用電気コードの芯線をほぐして丸めて詰め,銅網の代用として使ってみた。これを加熱し,空気を通じて反応をすすめるためには,管内の混度は350°c以上になっていることが必要な条件である。この温度は管内を通る空気の流速にもよるが大型アルコールランプの炎ではやや不十分で,ガスバーナーでなければ十分ではない。またこの温度では,この装置のガラス管はバイコールガラスか,石英ガラスででなければ軟化変形してしまう。実験の結果は,酸化銅と還元銅の変化が黒色と赤銅色の変化で認めることができる点では効果的であるが,酸化による質量の増加は,同じ質量の銅粉を用いたときの1/15以下であった。しかし銅線の質量を5g以上で比例的にとると,酸化による質量の比例的な増加を上皿てんびんで確かめることができる。なお実験値をもとに,ガラス管に詰めた銅線の直径(2r)と質量(M)から,この装置の酸化還元能力を酸素の体積 (V)で求める一つの目安の式を示した。それは350°c以上の温度条件で, 酸化の最大値をとることにして, 20°C, 1気圧のもとで次式で示すことができる。V(20℃, 1 atm.)=2.07・(M/2r)・10-4······(ℓ)
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