1981 年 21 巻 2 号 p. 23-29
てんびんの左右の穴を対応させ左右の穴の数を等価にする論理操作と,提示されたてんびんの状態を判断するパターン認識の関係を明らかにするために,前操作的段階の準段階 II-B (6歳)の児童に対し,ピアジェのてんびん型装置を使って臨床実験と調査を行なった。その結果,てんびんをつりあわせるテストの成績は,被験者に対称な状態に置かれたてんびんを提示した方が,非対称な状態を提示するよりすぐれていた。また,対称な状態のてんびんの成積は,数を数えて対応させる能力が高い場合に,すぐれていることが分った。さらに,被験者に対称な状態のてんびんを提示した場合,てんびんをつりあわせる正反応率は,てんびんの支点や腕の端に近いほど高くなっていたが,非対称てんびんではこのような傾向は見られなかった。これらのことから,前操作的段階の準段階 II-B(6歳)の児童がてんびんをつりあわせる場合,被験者は,提示されたてんびんの状態から判断するパターン認識によって規準点を見い出し,次いで論理操作を行なっている。従って,この段階の児童がてんびんをつり合わせる操作は,常にパターン認識が伴っていて,論理操作とパターン認識とを分離できない未分化の状態にあるいることが分った。