1982 年 23 巻 2 号 p. 19-26
愛媛県内の小・中・高校生を対象に,毎年募集している夏休みの自由研究「児童生徒理科研究作品」のうち,昭和56年度自由研究部門・小学校の部に応募のあった作品をもとにして,その研究素材の調査と分析を試みた。調査件数は812件である。調査は,研究素材を分類することから始めた。分類は, 1研究作品から1研究素材を抽出し,類似した研究素材を1つの研究素材群にまとめ,更に,研究素材群を小学校理科の3区分に分けるという方法で行った。次に,分類した集計表をもとにして,小学校の自由研究で取り上げられる研究素材の実態について考察した。その結果,次のような所見を得た。1) 研究素材は,数・種類ともに,区分Aに属する素材が多く,こん虫・草花などの身の周りの観察が容易なものに集中する。2)児童の学年進行につれて,研究素材の種類が増加する。素材はア授業中の学習素材から応用的な研究素材へ,総合的なものから分析的なものへ,巨視的なものから微視的なものへと移行し,区分Bに属する素材が増加する傾向がある。