1983 年 23 巻 3 号 p. 109-123
小学校理科における,野草を素材とした柏物教材モジュールの開発を図るための,基礎研究の一つとして,次の調査を行った。兵庫県下の小学校校地に生育する野草の共通種を明らかにするために,兵庫県を,地図の上で,23に分割し,各部分から,小学校1校ずつを選び,春,夏の2回にわたって,校地内の野草を調査した(1982)。その結果,次の諸点が明らかになった。(1)兵庫県下における調査対象小学校23校中,全校に共通する16種,及び,大部分(20校87%以上)に共通する26種の野草を確認した。これら42種の野草は兵庫県下の小学校の校地に,かなり広く生育していることが予想される。従って,植物教材モジュールを開発するにあたり,本調査で明らかになった42種の野草を素材とすれば,兵庫県下の多くの小学校で利用することが可能になると予想される。(2) 上記42種の野草のうち34種ぱ,全国的に分布が確認されている。これらの野草ほ,兵庫県下に限らず全国各地の,かなり多くの小学校の校地に生育していることが予想される。従って,これら34種の野草は,全国各地の小学校で利用できる植物教材モジュールを開発する際のよい素材となる可能性をもっていると考えられる。