日本理科教育学会研究紀要
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子供の「加速度」の認識に関するピアジェ実験についての一考察
竹前 進
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1984 年 25 巻 1 号 p. 71-77

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抄録

本研究は,子供の「加速度」の認識に関するピアジェ実験の追試を行い,その結果を追認するとともに,その実験方法に改善を加え,子供の「加速度」の認識の変化を調べたものである。ピアジェが斜面上での加速度運動によって子供(5~13歳)の「加速度」の認識を追求しているのに対し,本研究では,鉛直方向及び水平方向の加速度運動によってもそれを調べ,更に,子供(5~15歳)に対するInstruction(ボールの跳返り現象を観察及び実験操作させる教授・指導を指す)の効果についても追求した。その結果,次の諸点が明らかになった。(1) 鉛直方向下向き,鉛直方向上向き及び水平方向右向きの運動体の場合でも,子供の「加速度」の認識の仕方はピアジェ実験の結果とほぼ同様の結果である。(2) 運動体が加速度運動する向きと子供の「加速度」の判断との問に,統計的な有意差はほとんどみられない。(3) 年少の子供(5・6歳)の中には,「加速度」を判断する際に「瞬間速度」を直観して判断する者がいる。(4) ボールの跳返り現象を子供に対し,Instructionとして観察させたり,または,その実験を操作させたりすることによって,「加速度」をより効果的に判断させることができる。

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© 1984 一般社団法人日本理科教育学会
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