1984 年 25 巻 1 号 p. 65-70
筆者等は,電流概念の中で最も璽要な概念の一つである単一閉回路での電流の保存を中心に,考え方及びその学年推移を,小学校5年から中学校3年にかけて調査し,詳細に検討した。調査問題は,乾電池と1ないし2個の豆電球で構成された単一閉回路における電流の強さを,文章で表現した選択肢で回答する形式と,電流値を数値で回答する形式よりなる。その結果,2つの形式の回答は正誤にかかわらずよく対応しており,子供の持っている電流の量概念は多岐にわたることがわかった。また2つの異なった回路に対して筋道の通った量概念を持つ者は,正誤にかかわらず学習の積み重ねとともに増加していた。当然のことながら電流の保存概念も学習の電み重ねとともに定着しており,中学2年の学習でほぼ完成することもわかった。