本研究は、中学校理科第2分野で活用できる実験・観察教材としての市販キノコの教材化の研究である。キノコを教材化したこれまでの研究に斉藤6)の紙培地によるキノコの培養がある。本論はこの教材化の提案を改良したものである。教材化の視点として素材の入手の容易性は、大切である。各学校の近くで入手でき、これまでの研究で用いられてきた種菌の代わりになるものとして市販の食用のキノコで実験した。石突きの部分を組織倍養し、菌糸を増殖させ、子実体(キノコ)を形成させた。組織培養によるキノコ栽培の手順は、次の通りである。キノコの石突きの部分を5 mm~1 cm程度の大きさに切る。紙培地と切った石突きの部分を交互に重ねてビーカーやコーヒーの空き瓶などに入れる。乾燥しないように3ヶ月ほど暗所に保管する。以上の手順で実験すると約3ヶ月後に子実体(キノコ)が出てくる。キノコ教材を用いた実験の留意点は、次の通りである。第1にキノコ教材の活用時期は、秋から冬にかけて(2学期から3学期)が良い。第2に紙培地が水分を含んでち密になりすぎると、通気性が悪くなり菌糸の成長がみられない。第3に菌糸が発生しない場合の取り扱いとして必ずしもキノコを作ることだけに目的を限定する必要はない。途中でカビが生えてしまうこともあるが、これも菌類であり、分解者であることの学習に利用できる。キノコ教材の活用分野として「生物のつながり」の単元が考えられる。始めの実験の時間と終わりのまとめと考察の時間はそれぞれ1時間かけて実施し、途中の観察は他の理科と並行して実施することが考えられる。