日本理科教育学会研究紀要
Online ISSN : 2433-0140
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中学生における粒子観の形成過程に関する分析―特にミニ理論を手がかりにして一
森藤 義孝森本 信也
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1992 年 33 巻 1 号 p. 1-13

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抄録

本研究においては、中学生の保持する粒子観の特質とその形成過程を明らかにするため、化学反応に関する面接調査を実施した。調査結果の分析においては、クラックストンによって提起されている学習モデルを規範として取り上げた。このモデルに従い、中学生の保持する粒子観を、「内容」, 「適用方法」, 「適用可能な状況」といった側面から捉え、それらを「直観的科学」,「俗科学」,「学校科学」といった三つのミニ理論群に分類することができた。さらに、「概念変換」を、「学校科学」の受容に伴う「直観的科学」と「俗科学」の破棄の過程としてではなく、それぞれのミニ理論の最適な適用状況を見いだすことを含む過程として捉えることができた。この見解から得られる理科教育への主要な示唆は、理科教授が、異なる種類のミニ理論群を統合するだけでなく、それらの再定位をも含むように計画されるべきであるということである。

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© 1992 一般社団法人日本理科教育学会
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