主催: 阿萬 裕久, 天㟢 聡介
会議名: 第32回ソフトウェア工学の基礎ワークショップ(FOSE2025)
開催地: 愛媛県松山市
開催日: 2025/11/06 - 2025/11/08
p. 63-72
システム開発の要求定義工程においては,専門家ではないユーザは日々の生活で特に意識せずに使われる曖昧な表現を用いてシステムの仕様を開発者に伝達しがちである.これらの曖昧表現により開発者が要求を捉え違えると,ユーザの要求に即さないシステムが実装されてしまう.要求仕様における曖昧表現の見直しは,システム開発の成否に影響する重要な課題である.これまでに筆者らは,曖昧表現の見直しノウハウ(曖昧となる理由や見直し方針)を個々の曖昧表現に対して提示する「曖昧表現の見直しガイドライン」を提案している.本稿では,ガイドラインが取り上げている90個の曖昧表現を取り上げ,曖昧となる理由やその見直し方針が類似するものでグルーピングした,11個の曖昧表現パターンを提案する.曖昧表現パターンは,システム開発の失敗につながる誤ったやり方(曖昧さが残る要求の表現)を,べからず集として整理したアンチパターンである.開発者はアンチパターンを学習することで,誤ったやり方を是正するための指針を得られる.その上で,提案する曖昧表現パターンの学習効果を検証するため,企業のシステム開発の初心者を被験者とした実験を行った.被験者は,曖昧表現パターンの学習の前後で,曖昧表現の発見や解消(書換え)を問う問題に回答した.実験結果より,学習前と比較して,学習後の被験者は曖昧表現を正しく解消(書換え)できることが統計的に実証された.