日本薬理学雑誌
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ミニ総説号 「末梢ヒスタミン研究の新たなる展開」
新規ヒスタミンH4受容体のクローニングとその受容体特性
小田 環松本 俊一郎
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2001 年 118 巻 1 号 p. 36-42

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抄録

1910年に生理機能が初めて報告されたヒスタミンは, その後の薬理学的, 分子生物学的解析により, H1, H2, H3の3種の受容体を介して細胞内情報伝達が行われ, 種々の生理機能を発揮していると考えられていた. 私たちは, ヒトドラフトゲノムデータベースを網羅的に検索する事により, H3受容体に対して37.4%の相同性を有する新規ヒスタミンH4受容体(GPRv53)を同定した. H4受容体は, [3H]-ヒスタミンに, 17.2nMの解離定数で結合する高親和性受容体であり, 活性化に伴い, 細胞内cAMP量を減少させる. ヒスタミン以外では, R-(α)-methyl-histamine(H3受容体アゴニスト), clobenpropit(H3受容体アンタゴニスト)さらにはclozapine(抗精神病薬)がH4受容体と結合して, アゴニスト活性を発揮し, thioperamide(H3受容体アンタゴニスト)がアンタゴニスト活性を有する. H4受容体は, 末梢白血球, 脾臓, 胸腺, 結腸等で発現しており, 免疫機能への関与が示唆されている. H4受容体の発見により, ヒスタミンの新しい生理的·病理的機能の側面が解明される手がかりとなるだろう.

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