日本薬理学雑誌
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新薬紹介総説
二次性副甲状腺機能亢進症治療薬としてのマキサカルシトール
今関 郁夫
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2003 年 121 巻 1 号 p. 65-75

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抄録
マキサカルシトール(商品名オキサロール)はビタミンDの誘導体で,その適応症は注射剤としては維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症(2°HPT),軟膏としては尋常性乾癬,魚鱗癬群および掌蹠角化症である.このうち2°HPTは腎透析患者の主な合併症のひとつで,副甲状腺の腫大と副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌過剰を引き起こす.一方,活性型ビタミンDである1α,25-dihydroxyvitamin D3(1,25(OH)2D3)をはじめとするビタミンD化合物の薬理作用は多岐にわたるが(腸管からのカルシウム吸収促進作用,白血病細胞の分化誘導作用,軟骨分化作用,筋肉·皮膚への作用,免疫抑制作用など),副甲状腺への作用はその核内受容体であるVDRを介すると考えられている(Genomic Actionと呼ばれている).マキサカルシトールは,PTH産生をmRNAレベルから抑制することで2°HPTの治療効果を示していることが明らかにされており,さらに合併症のひとつである線維性骨炎や骨異栄養症における高回転型骨代謝も改善することが確認された.ここでは2°HPTへの作用(注射剤としての適用)に焦点を当てていくつかの報告·データを紹介する.
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© 2003 公益社団法人 日本薬理学会
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