日本薬理学雑誌
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総説
消化性潰瘍の治癒機構および治療薬の開発に対する考察
1)酢酸潰瘍モデルの考案と薬効評価を中心にして
岡部 進天ヶ瀬 紀久子
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2003 年 122 巻 1 号 p. 73-92

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抄録

消化性潰瘍の成因,および治療薬の開発のために,実験動物に種々の潰瘍モデルが考案されてきたが,多くは急性潰瘍モデルであり,また筋層に達する損傷であっても,数週間以内に治癒し,再燃·再発することはなかった.しかし,筆者らは,酢酸潰瘍モデルという簡便に作製出来る慢性潰瘍モデルを4型考案した.その内,2つの潰瘍モデルは,潰瘍発生後,長期間(>1.5年)持続し,再燃·再発を繰り返す潰瘍であることが証明された.さらに,他の研究者は,酢酸を使用して食道潰瘍,口腔内潰瘍,大腸潰瘍モデルも作製した.現在,これらの酢酸を使用した潰瘍モデルは国内外で繁用され,潰瘍の治癒過程の解明,抗潰瘍薬の効力検定,さらに非ステロイド性抗炎症薬の胃腸障害作用の有無の検討,ヘリコバクター·ピロリ菌による潰瘍の遅延,再発の機序の研究に使用されている.これらの潰瘍モデルの使用により,現在臨床応用されている薬物も多く開発され,また潰瘍の治癒,再発機構の解明も時代とともに分子レベルで進んでいる.さらに,難治性潰瘍には遺伝子治療の可能性も示唆されている.今回は,潰瘍モデルの歴史,酢酸潰瘍モデルの紹介,各種薬物の効果を主に記載した.
1.はじめに
2.実験潰瘍モデルの歴史
3.酢酸潰瘍モデルを使用した薬効評価
4.酢酸潰瘍の遺伝子治療
5.結語

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© 2003 公益社団法人 日本薬理学会
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