日本薬理学雑誌
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ミニ総説「情動の分子薬理学―QOL向上の分子基盤―」
末梢型ベンゾジアゼピン受容体遺伝子多型と特性不安との関連
吉井 光信中本 百合江中村 和彦
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2005 年 125 巻 1 号 p. 33-36

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抄録

我々は健常人において,血小板における末梢型ベンゾジアゼピン受容体(PBR)の発現と特性不安とが相関することを最近見つけた.今回,この相関に遺伝子がどのように関わっているかを解析した.51人を対象に状態-特性不安尺度(STAI)を用いて不安レベルを調べた.血小板PBRに対する受容体結合実験も同時に行った.末梢血リンパ球より遺伝子DNAを抽出し,PBR遺伝子のエクソン4を解析した.エクソン4の翻訳領域で,一塩基置換G485A(Arg162His)を同定した.51人中17人(33.3%)にG485Aヘテロ接合体が見られ,3人(5.9%)にA485Aホモ接合体が見られた.他の31人(60.8%)のG485Gホモ接合体と比し,血小板PBRの発現量は有意に低下し,かつ,特性不安(状態不安ではない)の評点も有意な低下を示した.以上の結果より,PBR遺伝子多型は特性不安と関連することが示された.

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© 2005 公益社団法人 日本薬理学会
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