抄録
呼吸器系・循環器系およびそれらを調節している自律神経系を研究対象として遺伝子改変マウスを利用できるようにするために,マウスで施行可能な様々な測定方法を開発してきた.それらの実施の際に考慮すべき点や筆者らの工夫を中心に解説する.呼吸器の機能測定方法としては,体プレチスモグラフィーまたは気流速度計による換気量の測定,肺コンプライアンスの測定,血液ガスの測定について解説する.循環器の機能測定方法としては,心エコー・心電図による心機能の測定,テレメトリー・埋込カテーテル・尾動脈圧非観血法・サーボヌル法による血圧・心拍数の測定について解説する.自律神経の機能測定方法としては,神経活動の直接記録法,間接評価法,呼吸化学反射および動脈圧受容器反射の評価方法について解説する.最後に今後の方向性として,安静時だけでなく状況に応じた神経性調節の動的修飾機構を研究する事の重要性について述べる.