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日本薬理学雑誌
Vol. 127 (2006) No. 6 P 495-502

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http://doi.org/10.1254/fpj.127.495

新薬紹介総説

フィナステリドは5α-還元酵素II型(5αR2)の阻害薬で,頭皮や前立腺などの標的組織において,テストステロン(T)から,ジヒドロテストステロン(DHT)への変換を選択的に阻害する.フィナステリドの5αR2阻害作用の選択性は高く,ヒト由来5α-還元酵素I型(5αR1)とヒト由来5αR2で比較した場合,約120~600倍であった.DHTは男性型脱毛症(Androgenetic Alopecia:AGA)の主な原因として知られており,したがって,DHTの生成を阻害することでAGAを改善できると考えられた.また,フィナステリドはアンドロゲン,エストロゲン,プロゲステロン,グルココルチコイドおよびミネラルコルチコイド受容体に対するin vitroにおける親和性を示さず,また,in vivoにおける直接的なエストロゲン様作用,抗エストロゲン作用,ゴナドトロピン分泌抑制作用,アンドロゲン様作用,プロゲスチン様作用および抗プロゲスチン作用を示さなかった.AGAモデル動物であるベニガオザルにフィナステリド(1 mg/kg/day)を6ヵ月間経口投与したところ,毛髪重量と毛包の長さは増加し,ヘアサイクルにおける成長期の毛包が増加した.AGAの男性を対象とした48週間の本邦臨床試験で,投与前後の写真評価および患者自己評価により有効性を評価した結果,フィナステリド1日1回0.2 mgおよび1 mg群の有効性はプラセボ群に比べて有意に優れ,忍容性は良好であった.外国臨床試験において,頭頂部の脱毛症に対する5年間にわたるフィナステリド1 mg投与はおおむね良好な忍容性を示し,頭髪を改善した.また,フィナステリド1 mgは前頭部の脱毛症においても頭髪を改善し,別の外国臨床試験では,ヘアサイクルを改善した.フィナステリド(0.2 mgおよび1 mg)は5αR2の選択的阻害という作用機序に基づいて明らかな有効性を示し,長期投与時の安全性も高いことから,男性における男性型脱毛症用薬として有用な薬剤になると考えられる.

Copyright © 2006 公益社団法人 日本薬理学会

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