日本薬理学雑誌
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特集:GPCR研究の新しい流れ
オレキシンの発見
桜井 武
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キーワード: オレキシン, 摂食行動, 覚醒
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2007 年 130 巻 1 号 p. 19-22

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抄録
オレキシンは,近年同定された神経ペプチドで,オレキシン-Aと-Bの2つのアイソペプチドからなり,これらは共通の前駆体から生成される.オレキシンはOX1受容体とOX2受容体という2種のGタンパク質共役受容体に結合する.オレキシンは摂食中枢に存在し,また,脳室内投与によって摂食量を増加させる作用があること,OX1受容体拮抗薬が摂食量を減少させること,さらにオレキシン欠損動物の摂食量が若干減少することなどから,当初,摂食行動を制御する神経ペプチドとして注目された.その後,睡眠障害「ナルコレプシー」とオレキシンの深い関係が明らかになったため,オレキシンの覚醒・睡眠制御における役割,とくに覚醒状態の安定性を保つ機能が明らかになった.近年ではオレキシン神経の制御機構もあきらかとなってきている.本稿ではオレキシンの生理機能に関しては他の総説を参照いただくこととして,同定にまつわる話を中心に述べる.
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© 2007 公益社団法人 日本薬理学会
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