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日本薬理学雑誌
Vol. 131 (2008) No. 2 P 102-108

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http://doi.org/10.1254/fpj.131.102

総説

抗体医薬は今現在最も活発に開発が行われている医薬品群の一つである.その背景としては,(1)異種タンパク質としての抗原性の壁を乗り越えるキメラ抗体あるいはヒト化抗体,ヒト抗体製造技術の完成,(2)ゲノム創薬による医薬品開発の標的となる数多くの疾患関連遺伝子および疾患関連タンパク質の解明,の2点があげられる.現在上市されている抗体医薬のほとんどは構造的にはIgGサブクラスであり,薬効からは主に抗腫瘍薬と免疫調節薬に分類されるが,今後は機能的に必要なコンポーネントに小型化した抗体や,細胞表面の受容体等と結合し細胞内情報伝達を引き起こすアゴニスト抗体,あるいは分子標的薬のコンポーネントとしての利用等,抗体医薬の利用は拡大してゆくことが予想される.しかしながら,これら次世代抗体医薬の開発にあたっては,薬理作用の解析,あるいは安全性予測という面で種差の壁があり,化学合成医薬品で通常用いられる齧歯類動物を主体とした非臨床試験による評価には限界がある.したがって,ヒト初回投与前の安全性予測においては,適切なインビトロ試験系の構築,適切な動物を用いたインビボ試験,さらにはトランスジェニック動物や相同タンパク質等を利用した試験等を組み合わせた試験による解析が必要であり,薬理学者の智恵と経験が必要とされる.

Copyright © 2008 公益社団法人 日本薬理学会

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