2008 年 132 巻 1 号 p. 18-21
赤芽球性白血病細胞の分化誘導物質として再発見されたトリコスタチンA(TSA)の標的分子研究(ケミカルジェネティクス)により,ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)がその標的であり,この酵素の阻害が細胞周期停止と分化誘導活性の原因であることが突き止められた.この発見は,のちのヒストンアセチル化によるエピジェネティック制御の解明とがん治療に道を開く第一歩となった.さらにHDAC阻害薬のケミカルバイオロジーによって,非ヒストンタンパク質の新たな機能が次々と明らかになってきた.