日本薬理学雑誌
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創薬シリーズ(3)その3 化合物を医薬品にするために必要な安全性試験
血管毒性
永江 祐輔都賀 稚香友尾 孝鈴木 栄子
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2008 年 132 巻 1 号 p. 39-44

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抄録
血管は内皮細胞,平滑筋細胞,膠原線維,弾性線維からなる脈管である.内皮および平滑筋細胞は血管弛緩・収縮因子の産生や反応により血管緊張を調整していること,ならびに吸収された薬物に最初に曝される組織であることから,機能的・構造的に血管毒性の主要標的細胞である.薬物起因性の血管病変には動脈硬化,動脈瘤,血管炎,静脈血栓症および腫瘍があげられる.血管毒性が原因で医薬品が発売中止された事例は稀である一方で,血管障害の有効なバイオマーカーがないために,動物試験で血管毒性がみられた薬物の臨床開発を断念せざるを得ない場合が多い.末梢血中内皮前駆細胞(EPC)や内皮細胞(CEC)の計測は有望なバイオマーカーのひとつである.また,血管毒性の探索法として従来の病理組織学的手法に加え,摘出血管の収縮・弛緩能を測定する方法や超音波イメージングシステムを用い非観血的に血管形態や血行動態を観察・計測する方法があげられる.
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© 2008 公益社団法人 日本薬理学会
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