日本薬理学雑誌
Online ISSN : 1347-8397
Print ISSN : 0015-5691
ISSN-L : 0015-5691
実験技術
高速原子間力顕微鏡を用いた受容体の一分子イメージング
篠崎 陽一住友 弘二津田 誠小泉 修一井上 和秀鳥光 慶一
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 134 巻 2 号 p. 68-72

詳細
抄録
受容体の機能はリガンドが受容体に結合する事でおこる構造変化によって発揮される.例えば,イオンチャネル型受容体の場合はアゴニストが結合すると膜貫通ポアが開き,その中をイオンが通過する事で機能する.多くの場合は電気生理学的に,または指示薬などを用いる事でイオンチャネルの機能を評価するが,実際にその受容体がどのように構造変化して機能を発揮するかについては,溶液中で直接観察する事は困難であった.我々は,原子間力顕微鏡(atomic force microscopy: AFM)と呼ばれる新たな実験手法を用いる事で,水溶液中における一分子のP2X4受容体の表面構造および活性化に伴う構造変化のタイムラプス観察に成功した.また,P2X受容体に特徴的な現象として知られているポアダイレーションに相当する構造変化の観察にも成功した.
著者関連情報
© 2009 公益社団法人 日本薬理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top