日本薬理学雑誌
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総説
Gタンパク質共役受容体キナーゼ(GRK)
芳賀 達也
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2010 年 136 巻 4 号 p. 215-218

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抄録

Gタンパク質共役受容体キナーゼ(G Protein-coupled Receptor Kinase: GRK)の分子機能,分子構造,生理的役割を解説する.GRKは,Gタンパク質共役受容体(G Protein-Coupled Receptor: GPCR)をリン酸化するセリン・トレオニンキナーゼである.基本的な作用機構は,(1)アゴニスト結合した受容体(GPCR)がGRKを活性化,(2)活性化されたGRKが受容体をリン酸化,(3)リン酸化された受容体にアレスチン(arrestin)が結合,(4)その結果受容体の脱感受性(desensitization)が起こる,というものである.脱感受性は,受容体とGタンパク質との相互作用が損なわれる脱共役(uncoupling),受容体の細胞内への移行(internalization),細胞内移行した受容体の分解(down regulation)に区分される.Gqを介する反応をGRKがリン酸化非依存的に抑制する脱共役反応もある.受容体によるGタンパク質の活性化がonの反応であるのに対し,GRKの活性化による脱感受性はoffの反応である.一方,アレスチン上でMAPK(Mitogen Activated Protein Kinase)への情報伝達が起こることが報告されているが,この場合はGRKがonの反応を誘起していることになる.最近,GRKは多数の細胞内タンパク質や脂質と相互作用することが明らかになっている.細胞内シグナル伝達系の情報集積部位としての役割も推測されている.GRKは,網膜変性症,高血圧,心不全,リュウマチ性関節炎,アヘン耽溺などに関わると推測されている.

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