2011 年 137 巻 4 号 p. 185-188
ストレス適応障害,うつ病,慢性疲労症候群など,精神的ストレスに起因する疾病が社会問題化している.ストレス診断やメンタルヘルス対策では,問診や質問表という心理面からのストレス評価が中心であり,ストレスや疲労の定量化・指標化が強く求められている.ストレス研究の歴史は古いが,ヒトを対象とした被験者実験の多くは,急性の精神的ストレスを対象に実施されてきた.慢性ストレスや精神的疲労の研究が精力的に行われるようになったのは最近のことであり,ストレスと疲労のバイオマーカーとして確証が得られたものはまだ存在しない.そこで,ストレス評価法の現状を紹介するとともに,指標として期待されるバイオマーカー候補を紹介する.