日本薬理学雑誌
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創薬シリーズ(5)トランスレーショナルリサーチ(24)(25)(26)
トランスレーショナルリサーチからみた遺伝子組換え型ヒトトロンボモジュリン製剤(リコモジュリン®)開発
本田 剛一鈴木 秀明青木 喜和
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2011 年 138 巻 2 号 p. 56-59

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抄録
リコモジュリン®は,汎発性血管内血液凝固症(DIC)治療薬として2008年5月に発売された世界初の遺伝子組換え型ヒトトロンボモジュリン製剤である.トロンボモジュリン(TM)は,血管内皮細胞上に存在するトロンビン受容体として生体内で血液凝固反応にネガティブフィードバックをかけ,血液の流動性を保持している重要な生理的抗凝固因子である.リコモジュリン®は,このTMの活性部位(細胞外ドメイン)のみを遺伝子工学的に可溶性TMとして動物細胞にて産生させた遺伝子組換えタンパク質製剤である.1987年世界に先駆けてヒトTM遺伝子クローニングに成功して以来,20年を超える長い年月をかけて医薬品としての製品化に成功した.リコモジュリン®は,大学と企業の共同研究から生み出された産学連携の成功例の1つであり,その開発過程を産(企業)の側から振り返ることで,トランスレーショナルリサーチのあり方について考えてみたい.
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© 2011 公益社団法人 日本薬理学会
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