日本薬理学雑誌
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特集 アジアにおける動物実験代替法の展開
アジアにおける動物実験代替法の現状
黒澤 努
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2011 年 138 巻 3 号 p. 108-111

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抄録

アジアにおける動物実験代替法の研究は日本動物実験代替法学会が世界初の関連学会として誕生したときに開始された.その後動物実験代替法の研究は欧米で進展し,世界動物実験代替法会議が定期的に開催されることとなり,第6回世界動物実験代替法会議(WC6)が2007年に東京で開催され大きく開花した.この開催に合わせ,京都だけでなく,中国北京,韓国ソウルにてサテライト会議が開催され,アジア全域に動物実験代替法の研究が普及し始めた.とくに韓国では2007年に韓国動物実験代替法学会が設立され,活発な活動が行われている.また中国でも緩やかではあるが中国実験動物学会内,北京実験動物学会内に動物実験代替法に関する委員会が設立され,活動が開始されている.日本動物実験代替法学会はこれらの動きにも注目し,日中韓国際シンポジウムを定期的に開催している.また実験動物学関係者の動物実験代替法(3Rs)への関心は国際的な高まりを見せ,国際的な実験動物福祉に関する標準,法律,指針などで強調されるようになってきた.これを受けアジアにおいても各国の実験動物学会の連合体である,アジア実験動物学会連合(AFLAS)が2年に1度開催される折に3Rs関連の演題の発表だけでなく,シンポジウム,ワークショップが開催されている.また国際実験動物愛護評価認証協会(AAALAC International)の認証研究機関がアジアでは急増し,その基準文書のILARの指針の普及とともに,3RsとりわけRefinementへの認識の高まりと実践が本格化している.アジア各国における動物実験代替法への関心の高まりとそれをうけた国際的整合性を持った法整備に我が国も注目しなければならない.

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