草と緑
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雑草リスク情報-その5:止まらない雑草蔓延と対策不作為の実態
伊藤 幹二
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2022 年 14 巻 p. 40-48

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抄録

今年,第208回通常国会において,「直接又は間接に有用な植物を害する「草」を追加する」植物防疫法の改訂が可決され,ようやく日本でも法律上,駆除・蔓延防止の対象に雑草が含まれることになります.そこで,生活圏に蔓延する雑草リスクの実態の本質を探ることを目的に,関係者が日頃目にする現状について雑草ウオッチャーへのアンケートを行いデータ化しました.雑草蔓延の進行状況については,立場によって強弱がみられるものの大多数が「増えている」と回答し「減っている」はゼロでした.蔓延場所は農用地も含む空地,道路を筆頭に諸々の生活圏インフラ施設等で,つる性雑草,大型多年生雑草,外来雑草の広がりが目立っています.遷移の加速による木本化の進行も注目されます.このような難防除雑草の増加の主原因は,防除の削減や放棄,雑草・防除法への知識不足のもと大半でゴミ掃除的刈取りが継続さてれていること,適切な除草剤利用が制限されていることの3点と受け止められています.今後必要なことへのアンケート回答者の意見は,「市民・住民,緑地管理事業者,地方公共団体が連携をもって雑草問題や対策の提案を広く共有する活動」にほぼ収斂されます.そもそも政府も私たちも社会経済的損失につながる問題として対処してこなかったことが見て取れますが,これは,日本に雑草管理の司令機能が不在であったということです.今日,世界では雑草害との闘いはほぼ収束しつつありますが,日本では侵略する雑草との本当の闘いはこれから始まるのです.

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© 2022 特定非営利活動法人緑地雑草科学研究所

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https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.ja
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