日本薬理学雑誌
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総説
恐怖条件付け記憶の想起,消去に対する扁桃体亜核の役割
天野 大樹
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2012 年 140 巻 1 号 p. 14-18

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抄録
本来中性な音などの条件刺激と,電気刺激などの嫌悪刺激(無条件刺激)を組み合わせて行う「恐怖条件付け学習」は,扁桃体機能の評価に広く用いられている.恐怖条件付けを獲得した動物に対して条件付け刺激を繰り返し与えると,有害刺激と条件付け刺激との関係が無くなったことを新規に学習する.この現象は恐怖の「消去学習」と呼ばれる.恐怖獲得は種々の精神疾患につながる.また消去学習が上手くいかないことは心身のストレス状態が長く持続することを意味する.そこで恐怖学習や消去学習の神経回路メカニズムを明らかにすることは,恐怖関連疾患に対する治療法を開発していく上で重要であると考えられる.本稿では恐怖獲得,想起および消去学習に関わる神経回路について述べる.
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© 2012 公益社団法人 日本薬理学会
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