日本薬理学雑誌
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急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の病態解明と新しい治療への薬理学的アプローチ
炎症制御におけるRNA分解酵素Regnase-1の役割
竹内 理
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2015 年 145 巻 3 号 p. 129-133

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抄録
自然免疫は,肺傷害の原因となる細菌やウイルス感染認識を介して,その発症,重症化に深く関わっている.中でも自然免疫受容体として重要なToll-like receptor(TLR)は,インフルエンザウイルスなどの感染に対する急性肺傷害に重要であることが報告されている.一方で,TLRを介した認識は,感染防御に必須であり,生理的な条件下では,TLRにより惹起される炎症応答は適切に調節を受けることで,過剰な応答を起こさずに病原体感染を排除している.サイトカインをはじめとした炎症関連遺伝子発現は,転写調節のみではなく,転写後のmRNA分解速度や翻訳などによって緻密に制御され,適切な炎症応答を保っている.microRNAだけではなく,mRNA不安定化を促すTristetraprolinやRNA分解酵素であるRegnase-1といったmRNAの3′UTRに結合するRNA結合タンパク質が炎症制御に重要であることが明らかになってきた.シグナル伝達経路によりRegnase-1の発現が直接制御されることから,mRNA安定性は,転写に加えた新たな外的シグナル受容システムであると考えられる.本総説では,Regnase-1を切り口に炎症の転写後調節の分子メカニズムに焦点を当て,紹介したい.
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