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日本薬理学雑誌
Vol. 147 (2016) No. 2 p. 101-106

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http://doi.org/10.1254/fpj.147.101

総説

生命現象の理解には個別のコンポーネントについての理解に加え,それらの統合されたふるまいを知る必要がある.このような様々な分子のダイナミクスの背景にあるメカニズムを理解する上で強力なツールとなるのが数理モデルである.システムバイオロジーでは,数理モデルを用いて生命現象を司るメカニズムを理解する手法を頻用する.歴史的には解析的に解くことが可能なモデルが用いられたが,コンピュータの発達により,常微分方程式モデル,偏微分方程式モデル,確率モデル,これらのハイブリッドモデルなど多岐に渡る形式で記述されたモデルを数値計算によって解くようになった.こうした背景から,作成したモデルの正しい挙動を数値的に得るための,正確な数値計算技術が不可欠の要素となっている.本稿では,各モデル化手法の特徴を概説した後,システムバイオロジー研究において広く利用されている代表的なアプリケーション(シミュレータ)について,ソフトウェアの全体像から実装されているアルゴリズムまで,原典を挙げて解説する.数値計算手法の実装内容を正確に知ることは,ユーザにとってはモデルが備えるべき内容を理解し,結果を正しく解釈するために有用となる.また開発者にとっては,不必要な重複を避け,新しいブレークスルーを実現するための技術が何であるか,自らの創造性の発端を得るためにより重要な知識となるだろう.

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