日本薬理学雑誌
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147 巻, 4 号
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特集 脳における細胞内Ca2+ストアの制御機構と脳疾患の新たな治療戦略
  • 丹羽 史尋, 坂内 博子, 御子柴 克彦
    2016 年 147 巻 4 号 p. 184-189
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/09
    ジャーナル フリー
    細胞膜の構成要素である脂質・タンパク質は流体としての性質を持ち,側方拡散運動により自由に動く.自由拡散運動により脂質・タンパク質は均一に分布すると予想されるが,実際の細胞膜では膜分子の分布は一様ではない.シナプス後膜には神経伝達物質受容体が高密度で局在し,効率の良い神経伝達を可能にしている.いかにして神経細胞は,自由拡散運動に逆らって受容体の密度勾配を形成・維持し,シナプス伝達の制御を行っているのか? 我々は,ほ乳類の中枢神経系のGABA作動性シナプスに注目し,「量子ドット1分子イメージング」という技術で細胞膜上の受容体1分子のふるまいを「見る」ことにより取り組んで来た.神経細胞膜上のGABAA受容体の動きを1分子レベルで追跡したところ,小胞体からのIP3誘導カルシウム放出(IICR)が,GABAA受容体を動きにくくし,抑制性シナプスの中でのGABAA受容体の安定性を高めていることが分かった.さらに,GABAA受容体の安定性を高めるためには,IP3受容体に加えて代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)とリン酸化酵素プロテインキナーゼCの活性化が必要であることも明らかになった.これまでの研究で,グルタミン酸はNMDA型グルタミン酸受容体(NMDAR)を活性化し,細胞外から細胞内へ大量のカルシウムを流入させることにより,GABAA受容体を動きやすくすることが知られていた.一方,今回解明したメカニズムでは,同じグルタミン酸とカルシウムというシグナル物質が,mGluRとIP3受容体という全く異なる受容体を介して,逆にGABAA受容体を動きにくくし,安定性を高める働きをしていることが明らかになった.これはグルタミン酸とカルシウムというGABA作動性シナプス(GABAA受容体が機能するシナプス)の制御に関与するシグナル物質が,従来知られていた役割とは正反対の役割も担っていることを示す.
  • 金丸 和典
    2016 年 147 巻 4 号 p. 190-193
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/09
    ジャーナル フリー
    グリア細胞の一種であるアストロサイトは,最小で数十ナノメートル幅ほどしかない極めて微細な突起を持ち,シナプスや血管を取り囲むなど中枢の細胞間隙を埋めるように存在する.主に急性脳スライス標本や培養アストロサイトにCa2+イメージングを適用した近年の研究から,アストロサイトが局所的な細胞内カルシウム濃度上昇(Ca2+シグナル)を起こし,これがシナプス伝達や血流を調節することが示唆されてきた.このようなex vivoあるいはin vitroの実験系で得られた知見を実際の生体内(in vivo)で検証することは重要であるが,従来法で生体内アストロサイトの微細突起を観察することは非常に困難である.著者らは,アストロサイト特異的に高感度Ca2+指示タンパク質YC-Nano50を発現する遺伝子改変マウスを作製し,微細突起を含むアストロサイト全体を高い時空間解像度でイメージングする手法を確立した.本稿では,その手法とこれにより得られた知見を中心に紹介する.
  • 柿澤 昌, 山澤 德志子
    2016 年 147 巻 4 号 p. 194-199
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/09
    ジャーナル フリー
    細胞内カルシウムシグナルは,細胞外からの流入と,細胞内ストアからの放出により上昇するが,特に脳の神経系においては,カルシウム放出を担うチャネルの制御機構や,カルシウム放出系の機能的役割に,いまだに不明な点が少なくない,近年,我々は脳の神経細胞において,新しいカルシウム放出機構,一酸化窒素依存的カルシウム放出(nitric-oxide induced calcium release:NICR)という現象を発見した.このNICRは一酸化窒素の作用により,カルシウム放出チャネルの一種,1型リアノジン受容体がS-ニトロシル化修飾を受けて活性化されることで起こる.NICRの生理的機能の解明については,まだ研究が端緒についたばかりであるが,これまでに小脳シナプス可塑性への関与が示されている.NICRは,イノシトール三リン酸(IP3)によるIP3受容体の活性化や,細胞内カルシウムの上昇によるリアノジン受容体の活性化などの既知のカルシウム放出機構とは大きく異なる特徴を示しており,独自の機能的役割を有すると推測される.今後,NICRの機能的役割が明らかになり,その破綻や異常亢進に起因する疾患が明らかになることで,NICRの制御を標的とした新たな脳疾患の治療戦略へと道が開けることが期待される.
  • 山澤 德志子, 柿澤 昌
    2016 年 147 巻 4 号 p. 200-205
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/09
    ジャーナル フリー
    一酸化窒素(NO)とカルシウムイオン(Ca2+)は,ともに極めて重要なシグナル分子である.NOは,NO合成酵素により産生され,生体内で様々な生理的および病態生理的機能に関与している.NOは可溶性グアニル酸シクラーゼを活性化し,サイクリックGMPを介したシグナル伝達に関与すると従来考えられてきた.近年,NOにタンパク質のシステイン残基をS-ニトロシル化するタンパク質修飾機能があり,シグナル伝達機構として働くことが注目されている.一方,リアノジン受容体は細胞内カルシウムストア(小胞体)にあるカルシウム放出チャネルで,細胞内カルシウムシグナル形成の鍵となる分子の1つである.今回,NOがリアノジン受容体の特定のシステイン残基をS-ニトロシル化して活性化し,細胞内カルシウムストアからカルシウム放出を起こす事を明らかにした.加えて,この新しいカルシウムシグナルであるNO依存的カルシウム放出(NO-induced Ca2+ release:NICR)の病態生理学的な意義も明らかになった.脳虚血に伴いNO合成酵素が活性化され神経細胞死を誘発することが知られている.これは,脳梗塞などにおける神経細胞死の主要な原因とされている.大脳皮質培養神経細胞でもNO依存的カルシウム放出が観察され,NOドナー投与により神経細胞死が亢進した.しかし,NO依存的カルシウム放出を阻害する薬物(ダントロレン)を投与すると,NOによる神経細胞死が抑制された.これより,NO依存的カルシウム放出が神経細胞死に関わることを明らかにした.さらに興味深いことに,ダントロレンは,脳虚血モデルマウスで脳梗塞を軽減した.今回の新知見は,NOによる脳機能制御の基本的な理解を深めるとともに,神経細胞死を伴う病態に対する新たな治療戦略の基盤となり得ると期待できる.
  • 森口 茂樹, 福永 浩司
    2016 年 147 巻 4 号 p. 206-210
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/09
    ジャーナル フリー
    近年,うつ病患者の増加は深刻な社会問題であり,なかでも,うつ病治療薬であるparoxetine,fluvoxamineなどの選択的セロトニン再取り込み阻害薬(selective serotonin reuptake inhibitors:SSRIs)が治療効果を示さない難治性うつ病患者の増加が注視されている.私達は,sigma-1受容体欠損マウスがうつ様症状を発現することから,難治性うつ病治療におけるSSRIsに代わる新しい治療標的としてsigma-1受容体賦活化作用を提唱している.Sigma-1受容体は,神経細胞の小胞体に局在し,inositol 1,4,5-triphosphate(IP3)受容体を介して小胞体からミトコンドリアへのカルシウム輸送を担う分子シャペロンである.私達はcalcium/calmodulin-dependent protein kinase IV(CaMKIV)欠損マウスにおいて,うつ様症状の発現と海馬歯状回におけるadult neurogenesis(神経新生)の低下を見出しており,CaMKIV欠損マウスを難治性うつ病のモデルマウスとしてsigma-1受容体作動薬の効果を検討した.CaMKIV欠損マウスのうつ様症状はsigma-1受容体に親和性のないparoxetineは改善効果を示さないが,sigma-1受容体に親和性の高いfluvoxamineは有意な改善効果を示した.さらに,CaMKIV欠損マウスに対して,sigma-1受容体アゴニストであるSA4503がうつ様症状を改善した.FluvoxamineおよびSA4503によるCaMKIV欠損マウスのうつ様症状の改善効果には,神経新生と密接に関与するprotein kinase B(Akt)およびextracellular signal-regulated kinase(ERK)の活性化,続いてbrain-derived neurotrophic factor(BDNF)の産生亢進が関与していた.私達の研究結果は,sigma-1受容体賦活化が難治性うつ病の治療法になる可能性を示している.
特集 ライフサイクルストレスイベントに基づいた神経精神薬理学の新展開
  • 宮川 和也, 齋藤 淳美, 宮岸 寛子, 武田 弘太郎, 辻 稔, 武田 弘志
    2016 年 147 巻 4 号 p. 212-218
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/09
    ジャーナル フリー
    脳機能の発達過程において,最も外界から影響を受けやすい時期は胎生期であり,この時期に過剰なストレス刺激に曝露されることにより,中枢神経の発達や成長後の情動性の異常が惹起される可能性が考えられる.実際,妊娠期に母体が過度のストレス刺激に曝露されることにより,子の成長後のストレス反応に異常が生じるという臨床報告がなされている.本稿ではまず,胎生期ストレス研究について,臨床的側面と実験動物を用いた基礎研究の両面から概説する.また,近年著者らは,胎生期ストレスが惹起する子のストレス脆弱性の病態生理の解明に加え,その治療法の提案を期した薬理学的研究を行っている.その結果,行動学的検討において,妊娠期に強度のストレス刺激に曝露された親マウスから生まれた子マウスでは,成長後の一般情動行動の低下,不安感受性の増強およびストレス適応形成の障害が認められた.また,生化学的検討の結果,その発症機構の基盤として,脳内5-HT神経系の器質的あるいは機能的障害が関係している可能性が示唆された.さらに,胎生期ストレス刺激により惹起される情動障害に対する抑肝散の幼少期投与の効果について検討した結果,胎生期ストレス刺激により誘発される不安感受性の亢進は,抑肝散を生後3週齢から6週齢にかけて処置することにより改善した.本稿では,これらの著者らの研究成果を交え,胎生期におけるストレス刺激が子の精神機能障害を誘発する科学的根拠をまとめるとともに,子の安全かつ有効な薬物療法について議論する.
  • 荒木 良太, 矢部 武士
    2016 年 147 巻 4 号 p. 219-224
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/09
    ジャーナル フリー
    離乳後より長期間隔離して飼育したマウスは,成熟後に様々な異常行動を示すことから,環境要因に起因する精神機能異常の分子基盤を追究する際に用いられるモデル動物である.これまでの研究から,隔離飼育マウスが新奇マウスと対峙した際に,多動を示すと同時に背側縫線核のセロトニン神経が過剰に興奮することが見出されており,環境要因に起因する精神機能異常の分子基盤の一端として背側縫線核におけるセロトニン神経の制御異常の関与が示唆されている.今回我々は,隔離飼育マウスの背側縫線核において,セロトニン神経の制御に大きく寄与するGABA神経系について解析を行い,GABAB受容体のサブユニットの1つであるGABAB1aの発現量が,後天的な遺伝子発現制御機構であるエピジェネティックな変動を伴って増加していることを見出した.さらに社会的な刺激に対する応答調節に,背側縫線核のGABAB受容体が重要な役割を果たすことを明らかにした.本研究成果は,社会性の異常に,エピジェネティックな変動に伴う背側縫線核のGABAB受容体の機能変化が関与する可能性を示すものと考えている.本稿では,我々の検討により得られた実験結果を中心に紹介する.
  • 池上 大悟, 五十嵐 勝秀, 大塚 まき, 葛巻 直子, 成田 年
    2016 年 147 巻 4 号 p. 225-229
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/09
    ジャーナル フリー
    生物は生きていく上で,外界から絶えず様々なストレスに曝されている.こうした外界からのストレスに対して生体は適切に反応し,外界の変化に適応していく.これは生体レベルだけでなく,細胞レベルでも同様に起こる生命現象であり,後生的な遺伝子修飾機構であるエピジェネティクスの関与が考えられる.エピジェネティクスは,その効果を発揮するための遺伝子配列の変化を必要とせず,膨大なゲノム情報の各所を修飾することにより,転写装置が効率よくアクセスできるようにゲノム情報を制御している.このような制御機構は,外界からの様々なストレスを受けた細胞が,その変化を記憶・保持するために,なくてはならないものである.一方,痛みは急性痛と慢性痛に大別される.急性的な痛み反応は,危害から生体を防御するシグナルであり,『生体防御』に関与する重要なバイタルサインである.それに対し,慢性疼痛は,その病変部位が治癒あるいは修復に向かっている状態にも関わらず断続的に疼痛が認められる症状を示す.慢性的な痛みという不必要な強いストレスに曝されることにより,細胞が誤った変化を記憶し,末梢ならびに中枢神経の各所で不可逆的な神経可塑的変化が生じてしまうのである.これが,いわゆる「難治性」の疾患として認識される状態である.本稿では,慢性的な痛みストレスによる中枢のエピジェネティクス異常について概説することにより,エピジェネティクスの特徴,難治性の疾患に対する関与の可能性について論じる.
  • 吾郷 由希夫, 長谷部 茂, 橋本 均, 田熊 一敞, 松田 敏夫
    2016 年 147 巻 4 号 p. 230-234
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/09
    ジャーナル フリー
    意欲低下は,うつ病を含む精神神経障害の重要な指標である.筆者らは,マウスにおける報酬探索(reward-seeking)行動の新しい評価法として,雄マウスの雌マウスとの遭遇テスト,すなわち〝雌選択性試験(Female Encounter Test)〟を開発した.3チャンバー型実験ケージの両端コンパートメント内に雌雄のマウスをそれぞれ導入できるような金網ボックスを設置した.雄マウスを被験マウスとして測定ケージ内で馴化させた後,新奇(イントルーダー)の成熟雄および雌マウスを金網ボックスに導入した.その結果,雄性の成熟マウスは,試験を実施した近交系/非近交系のマウス系統すべてにおいて,雌を導入したボックスの領域を顕著に探索し,雄マウスよりも雌マウスとの遭遇を有意に好むといった雌選択性行動が認められた.この行動は,イントルーダーの雌マウスの性周期には影響されなかったが,雄の被験マウスを去勢することで消失した.雌選択性行動は,長期隔離飼育マウス,リポ多糖投与マウス,慢性コルチコステロン投与マウスといったうつ病モデルにおいて低下しており,抗うつ薬の投与により改善した.また雌選択性行動には,側坐核shell領域の活性化が関与すること,特に,脳内報酬系に重要な役割を担うドパミン神経系が関与していることを明らかにした.以上,成熟雄マウスの性的指向に基づく意欲/報酬探索行動は,雌との遭遇時間を定量化することで簡便に評価できることを示した.本手法は,抑うつ/意欲低下といった精神症状を伴う疾患の病態生理基盤の解明や創薬のための新たな方法論として貢献できるものと考えられる.
創薬シリーズ(8) 創薬研究の新潮流(2)
  • 高橋 信明, 丹羽 倫平, 中野 了輔, 冨塚 一磨
    2016 年 147 巻 4 号 p. 235-240
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/09
    ジャーナル フリー
    抗体は,現在では医薬品創出に欠かせないフォーマットとして確立し,幅広く認知されている.だが,一口に抗体医薬といっても,複数の要素技術が採用されており,複合的な技術の蓄積が今日の繁栄を支えている.開発初期には,マウスで取得した抗体の抗原性が問題となっていた.この課題を,マウスなどの異種の動物由来の抗体を部分的にヒト抗体配列に置き換える,キメラ抗体技術や,ヒト化抗体技術,さらには,ファージディスプレイ法やヒト抗体産生遺伝子改変マウスなどによりヒト抗体を取得する方法を開発することにより克服してきた.一方,ADCC活性などの抗体本来の機能をさらに高めるポテリジェント(Potelligent®)技術や,新規機能を付加したバイスペシフィック抗体技術などを搭載した抗体薬品の臨床試験が進んでおり,徐々に上市され始めている.本レビューでは,現在までの抗体技術開発の経緯と将来の技術開発の展望を解説する.
新薬紹介総説
  • 天野 学, 小林 洋子, 長谷川 真裕美, 大塚 康司
    2016 年 147 巻 4 号 p. 243-252
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/09
    ジャーナル フリー
    イピリムマブ(遺伝子組換え,以下,本薬)は,活性化されたT細胞上に発現する抑制性の共刺激受容体である細胞傷害性Tリンパ球抗原-4(CTLA-4)に選択的な免疫グロブリンGサブクラス1の完全ヒト型モノクローナル抗体であり,「根治切除不能な悪性黒色腫」を効能・効果として承認された免疫チェックポイント阻害薬である.本薬はT細胞上のCTLA-4と抗原提示細胞上に発現するB7(CD80/CD86)分子との相互作用を阻害し,T細胞の抑制性調節を遮断して腫瘍抗原特異的なT細胞を増殖・活性化させ腫瘍増殖を抑制する.また,制御性T細胞(Treg)に発現するCTLA-4への結合を介したTregの機能低下および抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性による腫瘍組織におけるTreg数の減少により腫瘍免疫反応を亢進させると考えられる.一方で,本薬はin vitroで軽度~中等度のADCC活性を示したが,in vivo非臨床試験および臨床試験では,活性化T細胞を減少させないことが示された.ヒトCTLA-4を発現したトランスジェニックマウスを用いたin vivo試験において,本薬は大腸がん細胞株の腫瘍増殖を抑制した.以上より,CTLA-4の阻害は腫瘍に対する免疫応答を増強させ,持続的な抗腫瘍効果により長期生存に寄与すると考えられる.実際に,根治切除不能な悪性黒色腫を対象とした海外第Ⅲ相試験において,本薬3 mg/kg投与群では対照群と比較して統計学的に有意な全生存期間の延長を認め,1年および2年生存率は対照群の生存率と比べて一貫して高く,Kaplan-Meier生存曲線は最終追跡時点の2年以上を通して対照群の曲線に収束せず,本薬の投与が長期生存に寄与する結果が示された.また,国内第Ⅱ相試験においても一定の抗腫瘍効果が確認された.主な副作用として作用機序に基づく免疫関連の有害事象である,下痢,大腸炎,皮膚障害,肝機能異常,内分泌障害等が認められたが,これらは管理可能であり,本薬3 mg/kgの忍容性が確認されている.以上のことより,本薬はこれまで予後不良の疾患であった根治切除不能な悪性黒色腫に対し,長期生存に寄与できる新たな選択肢を提供するものと期待される.
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