日本薬理学雑誌
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特集 iPS細胞と遺伝子治療の実用化研究の現状と今後の展望
高活性化TMPKとAZTによる遺伝子治療法は,Bystander効果によりがんに対する治療効果を発揮する
佐藤 岳哉柳澤 輝行
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2016 年 147 巻 6 号 p. 326-329

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抄録

私たちは,高活性化thymidylate kinase(TMPK)とazidothymidine(AZT)を用いる新規遺伝子治療法の開発を行ってきた.TMPK遺伝子をレンチウィルスに組み込むことでがん細胞などの標的細胞に導入し,その後AZT投与することで遺伝子導入細胞に効果的に細胞死を誘導できる.今回,本方法が抗がん遺伝子治療法として効果を発揮するために必要なBystander効果を有するかどうかについて,in vitroおよびin vivoモデルを用いて検討した.高活性化TMPKを発現細胞においてAZTは活性化体に変換され細胞死を誘導したが,同時に周囲に存在するBystander細胞にも,細胞死を誘導するBystander効果を発揮した.このBystander効果発揮において,細胞間接着装置が重要であることを確認した.さらにin vivo腫瘍細胞移植モデルにおいて,形成された固形腫瘍に治療ウィルスを投与,さらにAZT処置を行うと,形成された腫瘍組織の縮小が観察され,in vivoにおいても本方法がBystander効果を発揮することが確認できた.以上の結果からTMPK/AZTを用いる本方法は,固形腫瘍に対する遺伝子治療法として有用であると考える.

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