日本薬理学雑誌
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特集 iPS細胞と遺伝子治療の実用化研究の現状と今後の展望
Virosomeによるがん治療法の開発と臨床応用
金田 安史
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2016 年 147 巻 6 号 p. 330-333

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抄録

がんは近年の種々の抗がん治療法の開発にも関わらず,未だ治療困難な疾患である.がんは不均一性を示すため,単一治療法でのがんの根治療法は不可能である.そのため,様々な側面からの治療方法が必要とされている.私たちはUV照射により不活性化したセンダイウィルス粒子(hemagglutinating virus of Japan:HVJ)エンベロープベクター(HVJ-E)を用いる新規遺伝子デリバリーシステムを開発した.種々の担がんモデルに対してHVJ-Eを投与すると,HVJ-Eそのものに抗腫瘍活性があるということを私たちは見いだした.私たちはHVJ-Eを抗がん治療法として開発するために,HVJ-Eの抗腫瘍活性の分子機構について検討を行った.HVJ-Eの抗腫瘍活性の一つは,がんに対するNK活性およびCTL活性増強,制御性T細胞の抑制に因るものであった.さらに別の抗腫瘍活性として,HVJ-Eががん細胞にウィルスRNA断片を導入することで,RIG-I/MAVS経路を介して細胞死に関連するTRAILやNoxaの発現亢進が起き,その結果がん細胞特異的にアポトーシスを誘導するものである.現在,日本において臨床試験に使用可能なHVJ-Eを用いて,メラノーマと前立腺がんに対する臨床試験が進行中である.HVJ-Eは種々の治療分子を組み込むことが可能であるので,将来,種々の抗がん治療法の側面をもつ治療法ががんの治療法として用いることが可能になることが期待される.

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