2016 年 148 巻 3 号 p. 144-148
近年,ヒト型抗ヒトCTLA-4モノクローナル抗体イピリムマブの米国での悪性黒色腫に対する承認を皮切りに,ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体のニボルマブあるいはペムブロリズマブが,悪性黒色腫患者の他,肺がん患者等を対象とした臨床試験で有効性を示すなど,がん免疫療法は目覚ましい進歩を遂げている.がん免疫療法は,進行期のがん患者に生存期間の延長効果を示すのみならず,長期に渡って治療効果を持続させることも明らかになり,新しい治療法として脚光を浴びている.その一方で,免疫の調節変動がもたらしたと考えられる自己免疫反応等の,化学療法では認められにくい副作用が発現することも懸念される.新しいがん免疫療法の開発が,今後増加していくことが予想されるが,効果的な研究開発のためには,その有効性に加え,安全性も適切に評価できるモデルが必要とされる.抗腫瘍活性を評価するモデルとしては,従来から抗がん薬の評価に用いられているシンジェニックモデルや外来遺伝子導入株などの移植モデル,化学発がんモデルやGenetically Engineered Mouse Model(GEMM)などの自然発症モデル,また,近年開発がすすめられている免疫ヒト化マウスモデルなど多岐にわたるが,免疫感受性の違いや異所性および異種性といった課題がある.ここでは,免疫チェックポイント分子阻害薬の反応性を中心に,それぞれの特徴および課題等を紹介する.また,がん免疫療法では免疫関連有害事象(irAE)が重篤な副作用として問題となるが,モデルを用いた予測についての現状も概説する.