日本薬理学雑誌
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特集 SGLT2 阻害薬 : 症状からの創薬、そして治療へ
In vivoグルコースクランプ実験系を用いたSGLT2阻害薬(トホグリフロジン)の薬理学的解析
深澤 正徳永田 工鈴木 昌幸鈴木 好幸川邊 良樹
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2016 年 148 巻 5 号 p. 259-265

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抄録

トホグリフロジン水和物(以下トホグリフロジン,製品名:アプルウェイ®錠,デベルザ®錠)は中外製薬株式会社によって創製された選択的ナトリウム-グルコース共輸送体(SGLT2:sodium glucose cotrasporter 2)阻害薬である.麻酔下カニクイザル・グルコース滴定試験において,トホグリフロジンおよびフロリジン(SGLT1,2阻害薬)はグルコース滴定曲線のスプレイ領域を拡大させたが,尿細管グルコース最大輸送活性には影響をおよぼさなかった.麻酔下正常血糖ラットにおける尿糖排泄・内因性糖産生同時測定系において,トホグリフロジンによる尿糖排泄の増加は内因性糖産生の増大で代償され正常血糖が維持された.一方,フロリジンはトホグリフロジンよりも大きな尿糖排泄促進作用と内因性糖産生性増加作用を示したが,その血糖降下作用はトホグリフロジンよりも大きかった.麻酔下ラットグルコース滴定試験および正常・低血糖グルコースクランプ試験において,トホグリフロジンは高血糖下のグルコース再吸収を50%以上抑制したが低血糖条件下では抑制しなかった.一方,フロリジンは高血糖下の腎グルコース再吸収を50%以上抑制し,低血糖条件下でも腎グルコース再吸収を20~50%抑制した.腎グルコース再吸収におけるSGLT2の貢献程度は低血糖よりも高血糖条件下で大きく,選択的SGLT2阻害薬であるトホグリフロジンは低血糖下の尿糖排泄を惹起せず,低血糖リスクが低いと考えられた.

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