日本薬理学雑誌
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特集 看護における薬理学教育を考える~薬物治療に強い看護師を育てるには~
薬物治療に強い看護師を育てるには:Patient-oriented Pharmacologyに基づいた看護における薬理学教育
柳田 俊彦
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2017 年 149 巻 1 号 p. 20-25

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抄録

1990年代後半から看護系大学の設置が進み,2016年度には日本看護系大学協議会(JANPU:Japan Association of Nursing Programs in Universities)加入校は254校にのぼり,今後もさらに増加する見込みである.卒前卒後の看護学教育における薬理学・臨床薬理学の重要性は言うまでもなく,認定看護師教育,専門看護師教育,さらには特定行為に係る看護行為の研修においても,臨床薬理学教育は,必須あるいは選択科目となっている.しかし,急激な看護系大学の増加に伴い,看護専門基礎教育(特に薬理学教育)や大学院教育に関わる教員の人材不足は否めない状況にある.多くの看護系大学において,薬理学を専門とする教員は不在となっており,学科外,あるいは学外に薬理学教育が依頼されている.一方,薬理学会からの視点でみると,これまでは,主に医師と薬剤師で構成されてきた薬理学の教育研究に,患者に直接与薬し,その治療効果,副作用を最も眼前で観察する存在である看護職が加わることは,教育研究の幅が広がり,より一層の発展が期待される.本稿では,新しい時代のニーズに対応する看護薬理学教育のあり方,特に「Patient-oriented Pharmacology」の概念に基づいた看護における薬理学教育について述べる.

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