日本薬理学雑誌
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特集:創薬・治療のターゲットとしての細胞分化
神経系細胞のiPS細胞からの誘導と神経疾患研究・創薬への応用
赤松 和土
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2017 年 150 巻 6 号 p. 282-285

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抄録

ヒトiPS細胞は2007年に線維芽細胞から4つの転写因子(Oct4,Sox2,Klf4,c-Myc)を用いて初めて樹立され,患者の体細胞からiPS細胞から誘導された神経系の細胞を用いることによって神経変性疾患の病態を生体外で再現できることが期待された.これまでに,筋萎縮性側索硬化症(ALS),脊髄性筋萎縮症(SMA),パーキンソン病などを中心に多くの疾患特異的iPS細胞を用いた病態解析が報告され,iPS細胞由来の神経系細胞を用いることによって,患者脳内で起きていた病理学的変化を正確に再現することができることが示されている.近年では患者からのiPS細胞の樹立は末梢血からも可能であることが示されたが,血球由来iPS細胞は神経分化しにくいという問題点があった.我々はこの問題を解決するため血球由来iPS細胞を高効率に神経幹細胞へ分化誘導する方法を開発し,血球由来iPS細胞が神経疾患モデルに使用できることを示した.さらに,この分化誘導法の途中でWntシグナルを制御する因子,レチノイン酸,Shhといった物質をニューロスフェア形成中に添加することにより,誘導される神経幹細胞の位置情報を任意に制御する方法を確立した.この方法とアルツハイマー病・ALS患者からのiPS細胞を用いて,誘導される神経幹細胞の領域特異性が正確な疾患表現型の検出のために重要であることを示した.今後は単一遺伝子疾患だけでなく環境要因の寄与が強い疾患や孤発性症例の解析を可能にするため,iPS樹立,分化誘導,解析のステップを従来以上に効率化していくことが次世代の疾患モデルの発展につながると期待される.

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