日本薬理学雑誌
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創薬シリーズ(8) 創薬研究の新潮流(19)
創薬研究における動物実験と動物福祉―第三者評価・認証の現状とこれから―
鈴木 真
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2018 年 151 巻 2 号 p. 69-74

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抄録

創薬研究において動物実験は必要不可欠な存在であり,製薬企業や受託機関で新規化合物の薬としての効力,安全性,あるいは動態などを評価する実験が行われている.しかし,動物実験を実施することにはリスクを伴う.一つは,動物実験で得られた成績を基に開発を進めていくが,臨床試験で期待通りの薬効が発現しない,想定外の副作用が発現する,あるいは想定外の薬物動態等の原因で開発中止になることである.他のリスクとして,社会は無条件で動物実験を容認しているわけではないので,動物福祉に配慮していない企業であるという評判がたつと,それが風評被害であったとしても企業イメージを損なうことである.そこで,企業は,外挿性の高い成績を得るために,動物福祉に配慮した動物実験施設を運営することに努め,また,動物福祉に配慮した研究者・研究所であることを実証するために国内外の第三者評価を受けて,企業イメージを損なわないようにも努めている.

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