2018 年 151 巻 5 号 p. 206-212
アストロサイトは無数の微細突起を伸ばし,アストロサイト同士あるいは他の脳細胞と非常に多くの領域をもって接するグリア細胞の一種である.アストロサイトがシナプス伝達・脳血流・神経細胞死などの幅広い生理・病理機能に寄与することが先行研究により明らかになってきているが,その機能や機能発現メカニズムには未解明な点を多く残している.アストロサイトは活動電位を発生しない非興奮性細胞であるため,電気生理学的手法を用いてリアルタイムに活動を検出することは困難であるが,蛍光Ca2+インジケーターを細胞内に導入し,細胞内Ca2+濃度変化(Ca2+シグナル)を観察することにより活動をモニターすることができる.また,アストロサイトのCa2+シグナル形成に重要なイノシトール三リン酸(IP3)受容体とその関連シグナル分子を人為的に制御した際のフェノタイプを解析すれば,アストロサイトの機能に迫ることができる.本稿では,このような手法を用いて著者らが見出してきた知見を紹介する.