日本薬理学雑誌
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特集:PACAPシグナル研究の新潮流~中枢・末梢組織での新しい生理・病態的意義~
PACAPシグナリングによって駆動されるアストロサイト―ニューロン乳酸シャトルの中枢神経機能発現への寄与―
神戸 悠輝栗原 崇宮田 篤郎
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2018 年 151 巻 6 号 p. 239-243

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抄録

アストロサイト-ニューロン乳酸シャトル(ANLS)は,アストロサイトを含むグリア細胞が産生した乳酸をニューロンが利用することを仮定したモデルである.ANLSは近年,学習・記憶,薬物依存などに重要な役割を果たし,細胞レベルにおいても,ニューロンを直接活性化したり,シナプス促通を惹起したりすることが報告されている.しかしながら,どのようなシグナルがアストロサイトに作用し,ANLSを活性化するか明らかではなかった.一方,神経ペプチド,下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)とその受容体は,中枢神経系に広く分布する.我々は前脳由来培養アストロサイトにおいて,PACAPは非常に低い濃度からANLSを活性化する可能性を見出したことから,内因性のANLS活性化因子の候補としてPACAPを捉え,恐怖記憶,脊髄痛覚伝達に対する関与を検討した.その結果,PACAPは少なくとも前脳と脊髄のアストロサイトのPACAP/PAC1シグナルの下流においてPKCを介したANLSの活性化を惹起し,恐怖記憶および脊髄痛覚伝達に関与することが明らかとなった.以上の結果から,PACAPは内因性のANLS活性化因子である可能性が示された.

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