2018 年 152 巻 1 号 p. 39-50
Clostridium difficile(C. difficile)は腸内常在菌でもあり,抗菌薬治療等により腸内細菌叢が破壊された後に腸内に繁茂し,強毒素であるトキシンA及びトキシンB(TcdA及びTcdB)を産生する.これらのトキシンにより腸管上皮細胞が損傷されることで発症するC. difficile感染症(CDI)は,劇症大腸炎を合併して死に至る場合もあり,その再発抑制がCDI治療における最大の課題とされていた.ベズロトクスマブはTcdBを標的とし,その活性を直接中和するヒトモノクローナル抗体である.本薬は,種々リボタイプのC. difficile由来のTcdBによる細胞毒性を,いずれも臨床用量でのヒト血清中薬物濃度(Cmax値:169 μg/mL)の1/150以下の濃度(EC50値)で阻害した.さらに,リボタイプ027(強毒株)や日本に多いリボタイプ018(smz)及び369(trf)を含む日米欧のC. difficile臨床分離株(81株)についても,本薬の阻害作用が認められた.また,本薬はハムスター及びラットCDIモデルの生存期間を,用量依存的に延長した.CDI再発に対する抑制効果を評価した臨床第Ⅲ相試験(MODIFY I及びII)において,ベズロトクスマブ群の投与後12週までのCDI再発率はプラセボ群と比較して有意(P<0.0001)に低く,本薬によるCDI再発抑制効果が認められた.ベズロトクスマブは,「クロストリジウム・ディフィシル感染症の再発抑制」の効能・効果を有する世界初の治療薬であり,本邦では2017年9月に製造販売を承認され,同年12月に発売された.ベズロトクスマブは,C. difficileの強毒性流行株を含む幅広いリボタイプに対して有効であることから,CDIの再発抑制を通してCDIの治療に大きく貢献することが期待される.