日本薬理学雑誌
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創薬シリーズ(8) 創薬研究の新潮流(28)
創薬におけるQuantitative Systems Pharmacologyの活用:薬物作用メカニズムの解明に向けた研究
齊藤 隆太
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2019 年 153 巻 3 号 p. 124-128

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抄録

創薬における意思決定の質や効率性の改善を目的として数理モデルが活用されており,ターゲット分子同定,トランスレーショナル研究,他剤との差異化,臨床試験デザインなど様々な創薬の課題解決に貢献してきた.近年,この数理モデルを用いた創薬アプローチはmodel-informed drug discovery and development(MID3)と呼ばれ,その中心的技術であるQuantitative Systems Pharmacology(QSP)が注目されている.QSPは薬物,疾患,個体差などの創薬に関わる様々なデータを統合したモデリング&シミュレーションを技術基盤とした新しい学術領域である.本論文では,QSPが薬物の作用メカニズムの解明に貢献した我々の解析事例,①抗トロンビン薬,②内分泌かく乱物質,を紹介することでQSPの有用性を示し,より活用されていくための課題について議論する.

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© 2019 公益社団法人 日本薬理学会
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