日本薬理学雑誌
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特集:ウイルスベクター技術による神経回路操作と薬理研究への応用
レンチウイルスベクター・アデノ随伴ウイルスベクター技術の基礎と薬理学研究への応用
永安 一樹
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キーワード: ウイルスベクター
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2019 年 153 巻 5 号 p. 204-209

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抄録

ウイルスベクターは,神経細胞やグリア細胞などの脳細胞をはじめとする様々な細胞に対して,in vivo/in vitroで外来遺伝子を送達可能な手段として広く用いられている.ChR2やNpHR,DREADDを用いた介入実験や,GCaMPやGECOを用いた神経活動の解析など,光遺伝学/薬理遺伝学的実験が,ごく一般的に行われるようになっているが,その背景には,上記遺伝学的ツールを高いレベルで発現させ得るウイルスベクター技術の存在がある.ともすれば,搭載している遺伝学的ツールの陰に隠れてしまいがちであるが,実際に遺伝学的ツールの利用を考えたときに,どのウイルスベクターを使うべきか,どのように調製するのか,外部から分与を受けるとしてその際の血清型は,など悩むことは多い.本稿では,特にレンチウイルスベクターとアデノ随伴ウイルスベクターに焦点をあて,その技術基盤について概説するとともに,感染細胞種選択性や体内動態の改変手法,floxマウスとの組み合わせによる回路・神経核特異的遺伝子ノックアウトなど,最近の知見を含めて紹介することで,これらのウイルスベクターを薬理学研究へ応用していく上での一助となればと考えている.

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