日本薬理学雑誌
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特集:健康寿命の延伸に向けた生活習慣病とがん研究の新展開
循環器疾患における核内転写因子PPARγの役割
向田 昌司
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2019 年 154 巻 2 号 p. 56-60

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抄録

Peroxisome proliferator-activated receptor γ(PPARγ)は,糖・脂質代謝の調節に関わる核内転写因子である.PPARγ作動薬であるチアゾリジンジオン系薬剤(TZDs)は脂肪組織における糖取り込みの促進による血糖低下作用を持つことから2型糖尿病の治療薬として汎用されているのみならず,降圧作用や抗動脈硬化作用などの血管保護効果を有する.同様に,PPARγ変異体(P467L,V290Mなど)を有する患者においては,インスリン抵抗性に加え早期高血圧が発症することからも,代謝調節以外のPPARγの作用が注目されている.一方,PPARγは全身で広く発現していることから,TZDsの副作用として体重増加,体液貯留及び骨折のリスク増加などが知られており,それぞれの臓器におけるPPARγの役割とその詳細な作用機序の解明は,副作用のない薬剤を開発する上で喫緊の課題である.本稿では,これまでに知られている循環器疾患におけるPPARγの役割について血管を中心に概説する.

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© 2019 公益社団法人 日本薬理学会
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