日本薬理学雑誌
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新薬紹介総説
ClostridioidesClostridiumdifficile感染症治療薬 フィダキソマイシン(ダフクリア®錠200 mg)の薬理学的特徴及び臨床試験成績
武田 忍三木 隆司
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2019 年 154 巻 4 号 p. 217-229

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抄録

フィダキソマイシン(ダフクリア®錠200 mg)は,ClostridioidesClostridiumdifficileC. difficile)感染症(CDI)治療薬として2018年7月に国内で承認された18員環マクロライド骨格を持つ新規クラスの抗菌薬である.本薬は,C. difficile由来RNAポリメラーゼによる転写に対する阻害活性を有し,C. difficile臨床分離株に対して抗菌作用を示した.なお,本薬の抗菌作用は殺菌的であった.各種細菌標準株に対する検討において,C. difficileを含む一部のグラム陽性菌にのみ抗菌活性を示し,多くのグラム陰性菌には抗菌活性を示さなかったため,抗菌スペクトルが狭域で,正常な腸管細菌叢を撹乱しにくい特徴を有すると考えられた.最小発育阻止濃度未満の濃度作用下でも芽胞形成を抑制するとともに,薬剤除去後も芽胞発芽後の生育を抑制し,栄養型への移行及びトキシン産生に対して阻害作用を示した.さらに,ハムスターを用いたC. difficile感染致死に対しても防御作用を示した.国内外の臨床試験成績では,CDI患者に対し本薬1回200 mgを1日2回10日間経口投与したとき,バンコマイシン1回125 mgを1日4回10日間経口投与したときと比較して,高い治癒率及び治癒維持率を示したのみならず,再発率が低いことも示された.有害事象はおおむねバンコマイシン投与群と違いはなく,安全性に大きな問題は認められず忍容性は良好であった.以上の非臨床薬理試験及び臨床試験の結果から,フィダキソマイシンは正常な腸管細菌叢を撹乱しにくい特徴を有し,CDIに対して高い治癒率と再発抑制効果を持つ新たな治療薬として有用な薬剤になるものと期待される.

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