日本血管外科学会雑誌
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症例
腹部大動脈瘤に腎下部限局性腹部解離が重複発症した 1 例
藤井 奨澤 重治西田 佑児
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ジャーナル オープンアクセス

2009 年 18 巻 3 号 p. 437-440

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抄録

【背景】解離が既存の腹部大動脈瘤に重複発症した症例は稀で,その急性期手術の報告はほとんどない.【症例】症例は58歳,女性.激しい腰痛を訴え近医受診した.症例は以前より腹部大動脈瘤で経過観察中であった.CT検査で,腎下から大動脈終末までの腹部大動脈瘤と,その瘤内に限局した解離を認めた.緊急手術を行った.腹部大動脈瘤に解離がみられ,前壁に径 2cmのエントリーを認めた.解離は腎動脈分岐近くまで及んでいた.中枢側をフェルトストリップで補強し,Y字型人工血管にて置換した.【結果】術後経過は良好で,術後第16病日に退院となった.【結論】腹部大動脈瘤に限局性解離を重複発症した場合の急性期手術では,動脈壁の脆弱性を考慮した吻合が必要であるが,通常の手術が可能であった.

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