日本薬理学雑誌
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特集:難治性神経変性疾患克服への新たなアプローチ
「良質な睡眠」による神経変性疾患の病態制御の可能性
皆川 栄子
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2019 年 154 巻 6 号 p. 306-309

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抄録

睡眠の異常,なかでも中途覚醒の増加や深いノンレム睡眠(徐波睡眠)の減少は,アルツハイマー病(AD)やパーキンソン病をはじめとする様々な神経変性疾患の患者に共通して,しばしば疾患早期から出現する.このような睡眠の異常は,従来,睡眠-覚醒や概日リズムを制御する脳部位に神経変性が波及したために出現すると考えられてきた.一方,近年の疫学研究からは,従来の理解とは逆に,睡眠の異常が神経変性疾患の病態を修飾する可能性が示唆されている.そこで様々な疾患モデル動物を用いて両者の因果関係が検証され,睡眠の異常と神経変性疾患病態との双方向的関係性という概念が提唱されている.社会の高齢化に伴って神経変性疾患の患者数は増加しているが,疾患の進行を抑止しうる治療法は未だなく,さらなる病態解明と疾患修飾療法の開発は喫緊の課題である.本稿では神経変性疾患の中でも特に患者数の多いADと睡眠の関係に関する研究を主に取り上げながら,神経変性疾患に共通する基盤的病態である異常タンパク質の凝集・蓄積と睡眠の異常との双方向的関係性を検証した種々の研究を筆者らの研究も含めて概説する.また,この双方向的関係性の背景にある機構の解明,ならびに,睡眠の異常を標的とした疾患修飾療法の開発に向けた課題と今後の展望について議論する.

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