日本薬理学雑誌
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新薬紹介総説
2型糖尿病治療剤 経口GLP-1受容体作動薬:経口セマグルチド(リベルサス®錠)の薬理学的特性と臨床試験成績
宮坂 恒太
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ジャーナル オープンアクセス

2022 年 157 巻 2 号 p. 146-154

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抄録

GLP-1受容体作動薬(GLP-1 RA)は2型糖尿病患者における良好な血糖コントロールを達成するために効果的な薬剤である.中でも,経口セマグルチドはアメリカ,ヨーロッパ,および日本で承認されている経口摂取が可能な唯一のGLP-1 RAである.この薬剤の登場により,注射によるGLP-1 RAの投与に抵抗のあった2型糖尿病患者においても,糖尿病発症のより早期でGLP-1RAの使用が可能になり,患者に経口薬の価値ある選択肢を提供することができるようになった.経口セマグルチドの有効性と安全性は9,543例(日本人1,293例)の被験者を含む第Ⅲ相臨床試験(PIONEER試験)で評価された.本臨床試験は10の試験で構成され,そのうち2試験は日本での国内臨床試験だった.全試験を通じて,経口セマグルチドによる良好な血糖コントロールと体重減少への影響が示された.承認された最高用量である経口セマグルチド14 mgは,対照群であるプラセボ,エンパグリフロジン,デュラグルチド,シタグリプチンと比較してHbA1cを有意に低下させ,リラグルチドに対しては非劣性であることが示された.経口セマグルチド14 mgは,プラセボ,シタグリプチン,リラグルチドに対しては体重減少に優越性を示し,エンパグリフロジンに対しては同等の体重減少への影響を示した.PIONEER試験において,経口セマグルチドの忍容性は良好であり,他のGLP-1RAと同様の安全性を示した.また,心血管アウトカム試験の結果から経口セマグルチドの心血管への安全性が示され,プラセボと比較して,心血管死および全死亡のハザード比が有意に減少していた.したがって,経口セマグルチドは2型糖尿病罹患の初期からのGLP-1RAsの開始という効果的な治療オプションをもたらし,2型糖尿病患者に新たに有効な選択肢を示したと考えられる.

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