日本薬理学雑誌
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特集:ミエロイド系細胞の新時代:発生機構から創薬標的としての可能性まで
脳神経疾患時のミクログリアとマクロファージ
金森 光広原田 義広伊藤 美菜子
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2023 年 158 巻 4 号 p. 304-307

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抄録

主要な免疫特権部位である脳においては,他末梢臓器と比較して免疫の研究はあまり盛んではなかった.しかしながら脳はミクログリアと呼ばれる免疫細胞で散りばめられており,とりわけ疾患時には重要な役割を果たす.また疾患時には抹消からも免疫細胞が浸潤する.加えて近年,脳に隣接する組織中の免疫細胞の解析も進み,多くの記述的知見が得られている.しかしながら解析が進むほど,このような免疫応答は症状改善における正と負の両方の作用を持つ複雑な反応であることが明らかとなり,未だに全容の解明には程遠くはっきりとした臨床応用の方向性も定まらないままである.本特集では定常状態に加え,日本の死亡および後遺症を引き起こす主要な原因である脳梗塞,および認知症の実に6~7割を占めるアルツハイマー病におけるミクログリアおよびマクロファージの役割について紹介する.

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