日本薬理学雑誌
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新薬紹介総説
新規アルツハイマー病治療薬レカネマブ(レケンビ®点滴静注200 ‍mg,500 ‍mg)の作用機序と臨床試験成績
新留 徹広石川 幸雄小川 智雄中川 雅喜中村 陽介
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2024 年 159 巻 3 号 p. 173-181

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抄録

レカネマブは,早期アルツハイマー病(アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度認知症)を対象に開発されたヒト化抗ヒト可溶性アミロイドβ凝集体モノクローナル抗体である.レカネマブは,アルツハイマー病(AD)病理のアミロイドβ(Aβ)のうち,神経毒性の高いAβプロトフィブリルに選択的に結合し,脳内のAβプロトフィブリルおよびアミロイド斑(Aβプラーク)を減少させると考えられる.レカネマブは,早期ADを対象とした国際共同第Ⅱ相プラセボ対照比較試験(201試験)及び国際共同第Ⅲ相プラセボ対照比較試験(301試験)によって有効性,安全性が確認検討された.両試験ともに日本人被験者も組み入れられた.レカネマブは,米国では2023年1月の迅速承認を経て,同年7月に正式に承認された.本邦においては,2023年9月に「アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制」の効能又は効果で製造販売承認され,同年12月に薬価収載された.

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